【読者投稿実話怪談】コーラを飲んだモノ

不思議な話

私が小学生の頃、よく家族でキャンプに行っていました。その中で、富士山の湖畔でキャンプした時の出来事です。いつもキャンプをする時はテントを張って寝泊まりするのですが、そのキャンプ場にはレンタルでキャンピングカーのキャビンのようなものがあり、そこに宿泊しました。そのキャビンは寝泊まりするだけのシンプルなもので、セミダブルのベッドがひとつ、向かい側にシングルベッドがひとつ、シングルベッドの上にハンモック型の寝具がありました。セミダブルにはまだ低学年で寝相が悪いのでハンモックは危ないと言う理由で弟と父、シングルに母、その上のハンモックに私という割り振りになりました。

それから普通に焚き火をしたり、ご飯を食べたりとキャンプを楽しんでいよいよ就寝時間になります。先ほどの割り振りでそれぞれベッドに入って、寝入っていた私は夜中にふと物音で目が覚めました。

カタン、シュワ〜。

炭酸飲料を飲んで、その缶をテーブルに置き、炭酸が弾ける音でした。なんの音かと思ったその時思い出したのです。

「そうだ、さっき夕食の時に弟が飲み残したコーラだ。中に持ってきてたんだっけ。誰か飲んだのかな?」

私はハンモックで寝ていて、下が見えなかったので、誰かが起きて喉が渇いたのかな?と思いました。ですが、私の下のベッドでは誰かが動いたりするような振動はないし、弟か父親だろうと思い、もう一度寝ようとしたその時。セミダブルで眠っていたはずの父が言いました。

「りん、こんな時間にコーラ飲んでるのか?」

私は血の気が引き、背筋が寒くなりました。私はコーラなんて飲んでいないし、母も身動きした気配はない。父が私に「コーラを飲んだのか」と聞いたと言うことは父の隣で寝ている弟でもない。

私は怖くなって、ハンモックから降りて母に声をかけましたが、深く眠っていて起きる気配がありませんでした。弟はぐっすり寝ているし、さっき話しかけてきた父もまた眠りについたようでした。

私は怖くてハンモックに一人で戻れず、結局セミダブルで眠っている弟と父親のベッドの狭い隙間にぎゅうぎゅうと割り込んでどうにか眠りました。

翌朝、父は「コーラを飲んでたのはりんじゃなかったのか?じゃあ誰が?」と驚いた声を上げました。あの夜、誰かがベッドサイドのテーブルからコーラの缶を持ち上げて飲み、カタンと音を立てておいた後炭酸が弾ける音を私を父は確かに聞いたのです。

あれから30年ほど経ち、私も自分の子供たちとアウトドアを楽しんでいます。実家に遊びに行って、子供達が楽しそうにキャンプに行った話をしていると今でも父は「それにしてもあれは不思議だったなぁ。」と話しています。

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