イッシー

イッシーの正体とは―池田湖に眠る謎の巨大生物

九州最大の湖に、体長10mを超えるとも言われる謎の生物が棲んでいる――鹿児島県指宿市の池田湖に伝わる未確認生物「イッシー」だ。ネッシー、クッシーと並ぶ国内三大UMAの一角として知られるこの生物について、今回は紹介したい。

舞台は九州最大のカルデラ湖

池田湖は、約5,700〜6,400年前の大規模な水蒸気噴火によって形成されたカルデラ湖で、周囲約15km、最大水深233mは日本で4番目の深さを誇る。河川からの流入がほとんどない閉鎖的な湖という特殊な環境も、この湖にまつわる噂に神秘性を添えている一因かもしれない。

1978年、20人以上が目撃した「黒いコブ」

イッシーの名が全国区になったのは1978年9月3日のことだ。湖岸で法事に集まっていた親類ら20人以上が、黒いコブ状の物体が2つ、猛スピードで水面を移動するのを目撃したと証言し、大きな話題となった。以後、体長10〜20m、5m間隔で並ぶコブ、赤みを帯びた黒い背中といった証言が相次ぎ、目撃者は200人を超えたとされる。もっとも証言の内容にはばらつきが大きく、統一された姿が確立しているわけではない。

写真撮影とビデオ映像、観光協会も本腰

同年12月には地元住民が湖面の物体を撮影したとされる写真が話題を呼び、指宿市観光協会の「イッシー対策委員会」から懸賞金10万円が贈られた。海外の研究団体による分析では「合成ではない」との判定が出たと伝えられるが、これは写真が加工されていないことを示すのみで、写っている生物の正体を証明するものではない点には注意したい。1991年には別の目撃者一家がビデオ撮影に成功したとされ、再び騒動となり、9日間にわたる特別探検隊による監視活動まで行われている。

町おこしの起爆剤としてのイッシー

指宿市観光協会は目撃直後から無人観測カメラを湖畔に設置するなど組織的に対応し、1991年の関連イベントでは2万6千人を超える来場者を記録したという。イッシーはネッシー・クッシーと並ぶ国内三大UMAとして全国メディアでも繰り返し取り上げられ、地域の観光を大きく後押しする存在となった。

最有力視される「オオウナギ巨大化説」

正体をめぐっては複数の仮説が唱えられている。中でも有力視されるのが、実際に池田湖に生息する大型のオオウナギが巨大化したのではないかとする説だ。ただし、これまでに確認されているオオウナギの最大個体は体長1.8m程度にとどまり、目撃証言のような20mへの巨大化は生物学的に説明が難しいとの指摘もある。ほかにも、放流された大型魚の群れの誤認説、波や流木を見間違えたとする説などが提唱されているが、いずれも決定的な証拠はなく、正体は今も謎のままとされている。

“本物の巨大生物”オオウナギ

興味深いことに、池田湖には実在の珍しい大型生物が確かに棲んでいる。日本におけるオオウナギ生息域の北限とされる池田湖の「大ウナギ群棲地」は1969年に指宿市の天然記念物に指定されており、体長1.8m・体重20kgに達する個体も確認されている。イッシーの噂と実在のオオウナギが同じ湖に共存しているという事実自体が、この場所の魅力を一層深いものにしていると言えるだろう。

オカルト研究室室長の考察

正体が科学的に解明されないまま半世紀近くが経つが、それでもイッシーは湖畔に像が建てられるほど地域に愛されるシンボルであり続けている。真偽を追い求めること以上に、謎を大切に語り継いでいくこと自体が、この湖の物語の魅力なのかもしれない。

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