
千駄ヶ谷トンネルの怪 ― 逆さまの女と呪術廻戦の聖地
国立競技場にほど近い、東京都渋谷区千駄ヶ谷。閑静な住宅街の一角に、都内屈指の心霊スポットとして語り継がれる小さなトンネルがある。「千駄ヶ谷トンネル」と呼ばれるこの隧道は、日中は近隣住民やランナーが行き交うごく普通の生活道路でありながら、夜になると一変、数々の怪談が語られる場所となる。今回はこのトンネルにまつわる歴史と噂を追ってみたい。
東京オリンピックを前に急造された、墓地の下のトンネル
千駄ヶ谷トンネルが竣工したのは1964年3月のこと。同年10月に開催される東京オリンピックに向け、都内のインフラ整備が急ピッチで進められていた時期にあたる。本来であれば迂回するはずだった日蓮宗の寺院・仙寿院の墓地がある高台を、時間短縮のためにそのまま貫く形でトンネルが掘られたと伝えられている。墓地の真下を通る道路という特殊な立地こそが、このトンネルが心霊スポットとして語られるようになった最大の理由だとされている。
「逆さまの女」と「血まみれの女」― 語り継がれる目撃談
このトンネルにまつわる噂は数多い。霊感があるという人からは、トンネルの天井付近に逆さに吊るされたような女性の姿を見たという証言があり、墓地が真上にあることと結びつけて語られている。また、深夜にトンネルを車で通過していると、白いワンピースを着た女性が追いかけてきて、抜けた瞬間にぴたりと立ち止まるという話も広く知られている。夜間に車の屋根を叩くような音を聞いた後、車体に手形や足跡のようなものが残っていたという報告も少なくない。
近隣のレコーディングスタジオに伝わる怪
トンネルの近くには、数々の名曲を生み出してきたレコーディングスタジオがある。1979年に発表された岩崎宏美の楽曲「万華鏡」のレコーディング時、曲の中に説明のつかない男性の声が紛れ込んでいたという都市伝説も語り継がれており、この一帯全体が「不思議な噂の集まる土地」として知られる一因となっている。
人気アニメの聖地としても知られる場所に
近年では、人気アニメ「呪術廻戦」の第1期オープニング映像に、このトンネル付近を思わせる場所が登場人物の立つシーンとして描かれたことから、心霊スポットとしてだけでなく「聖地巡礼」の対象としても訪れる人が増えている。かつては夜な夜な肝試しの若者たちが訪れていたこの場所も、今では昼間に写真を撮りに立ち寄るファンの姿が見られるようになった。
オカルト研究室室長の考察
五輪という国家的なイベントの陰で、本来避けるべきだった聖域の下にやむを得ず通された道。千駄ヶ谷トンネルの怪談は、そうした「本来ならしないはずのこと」に対する、ある種の後ろめたさが生み出したものなのかもしれない。今ではアニメの聖地としても親しまれるこの場所だが、墓地の真上を歩いていることを思えば、訪れる際は静かに手を合わせる気持ちを忘れずにいたいものだ。









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