
硫黄島の怪異 ― 「終わらない戦争」と天皇陛下の慰霊訪問
戦争にまつわる不思議な話を追う今回のシリーズ、これまで沖縄のガマや戦艦陸奥、知覧の逸話を紹介してきたが、今回取り上げるのは、現在も自衛隊基地が置かれ、一般人の立ち入りが厳しく制限されている島「硫黄島」である。「日本最大の心霊スポット」とまで言われるこの島に、なぜそのような噂が根強く残っているのか、その歴史とともに追ってみたい。
「玉砕の島」硫黄島
1945年2月19日から3月26日にかけて、硫黄島では日米両軍による凄惨な戦闘が繰り広げられた。栗林忠道中将が指揮する日本軍守備隊は、島全体に総延長17キロメートルにも及ぶ地下陣地を築き、水際での迎撃を捨てて内陸に敵を誘い込む持久戦を展開する。アメリカ軍は当初5日間程度での攻略を見込んでいたが、実際の戦闘は40日近くに及んだ。守備兵力およそ2万900人のうち、生き延びた者はわずかで、その多くが命を落とした。
今も1万人以上が眠る島
戦いから80年近くが経った現在も、硫黄島では戦没者の遺骨収集が続けられている。しかし今なお、1万人を超える戦没者の遺骨が見つかっていないとされる。硬い岩盤の下に張り巡らされた地下陣地の多くは崩落や埋没が進み、今も多くの人々がこの島の地中に眠ったままになっているのだ。
隊員たちが語った、終わらない戦争
現在、硫黄島には海上自衛隊・航空自衛隊の基地が置かれ、多くの隊員が交代で任務にあたっている。戦後から平成にかけて、この島に赴任した隊員たちの間では、さまざまな不思議な体験が語られてきた。夜中に隊列を組んで行進する兵士の姿や、水を求めてさまよう兵士の姿を見たという証言、窓の外からこちらを見つめる人影を見たという話が、まことしやかに語り継がれてきたという。多くの隊員が、この島ではまだ戦争が終わっていないのだと口にしていたと伝えられている。
天皇陛下の慰霊訪問と、静まった島
興味深いのは、こうした噂が語られなくなった転機とされる出来事があることだ。1994年2月、天皇皇后両陛下(当時)が硫黄島を訪れ、日米双方の戦没者に対して慰霊の拝礼を行った。この訪問を境に、島で語られていた不思議な現象がぴたりと収まったという証言が、複数の隊員たちから語られている。
オカルト研究室室長の考察
2万人近い命が失われ、その半数以上が今も土の中に眠ったままの島である。そこで語られてきた噂を、ただの怪談として消費することはできない。もし本当に、慰霊の祈りによって島の空気が変わったのだとしたら、それはこの島に眠る人々が、長い間ずっと、誰かが自分たちを覚えていてくれることを待ち続けていたということなのかもしれない。







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