事故物件の告知義務、法律ではどう決まっている?

賃貸物件を探しているとき、地図上にびっしりと並んだ黒い炎のアイコンを目にしたことがある人も多いのではないだろうか。事故物件公示サイト「大島てる」は、日本中の建物に刻まれた「人の死」の記録を可視化してきた、異色のウェブサービスだ。今回はこのサイトの成り立ちと、「事故物件」というものの正体について紹介したい。

祖母の不動産をめぐる不信感から生まれたサイト

このサイトが開設されたのは2005年のことだとされる。きっかけは、運営者の祖母が所有していた賃貸不動産をめぐり、仲介する不動産業者が実質的な仕事をほとんどしないまま、手数料として賃料の5パーセントから10パーセントを受け取っていることへの強い不信感だったという。この経験から、不動産業界の情報の不透明さそのものに問題意識を持つようになり、やがて事故物件情報を公開するサイトの運営へとたどり着いたと伝えられている。なお「大島てる」という名前は、運営者本人の名前ではなく、祖母の名前に由来しているという。

どうやって情報を集めているのか

このサイトの情報収集の方法は、事件の性質によって異なるという。殺人事件など事件性の高いケースについては、新聞などの報道や裁判の傍聴、起訴状などから物件の所在地を特定し、現地での聞き込みによって裏付けを取るという地道な調査が行われている。一方、自殺のケースについては報道されないことも多く、調査が難しいため、サイトの利用者など外部からの情報提供をもとに、独自の取材を重ねているとされる。専任のスタッフに加え、多くの協力者に支えられて運営が続けられているという。

「事故物件」の告知義務、国のルールはどうなっているのか

そもそも「事故物件」とは、法律上の正式な用語ではないが、不動産取引の実務では、過去にその部屋や建物内で人が死亡した物件を指す言葉として広く使われている。2021年10月、国土交通省は不動産会社向けに「宅建業者による人の死の告知に関するガイドライン」を公表した。これによれば、日常生活の中での不慮の事故死や、自然死で発生から概ね3年以上が経過した場合、共用部分での死亡などについては、原則として告知の義務はないとされる。一方で、殺人事件のように事件性が高いケースや、地域で広く知られるようになった事案、専有部分での自殺については、期間の長短にかかわらず告知が必要とされている。なお告知の際には、氏名や年齢、具体的な死の状況といった詳細情報までは開示せず、発生時期やおおまかな死因にとどめることが求められている。

オカルト研究室室長の考察

不動産という、多くの人にとって一生に何度もない大きな買い物や契約の場において、こうした情報の透明性を求める動きが生まれたのは、ある意味で自然な流れだったのかもしれない。「事故物件」という言葉が持つ怖さの裏には、住まいという最も身近な場所にまつわる情報を、自分自身で確かめたいという、人々のごく素朴な願いが隠れているように思う。

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