
アメリカの怪光現象『マーファ・ライト』― 140年の謎、科学が解いても謎が残る
アメリカ・テキサス州の荒野に、140年以上前から今なお目撃され続けている、正体不明の光がある。「マーファ・ライト」と呼ばれるこの怪光は、最近になって科学的な説明がついたと報じられたばかりだが、実はすべての謎が解けたわけではないという。今回はこの息の長い光の怪異について紹介したい。
1883年、牛追い労働者が見た「アパッチの焚き火」
地元の言い伝えによれば、最初の目撃者は1883年、パイサノ峠で牛を追っていた労働者ロバート・リード・エリソンだったとされる。彼は荒野の遠くで明滅する光を見つけ、当初はアパッチの人々のキャンプファイヤーではないかと考えたという。しかし後に他の入植者たちも同じ光を繰り返し目撃するようになり、実際に現地を調べても、灰やキャンプの跡といった痕跡は一切見つからなかったと伝えられている。
新聞が伝えた「幽霊の光」
文献に残る最古の記録は1945年2月、地元紙「サンアンジェロ・タイムズ」に掲載された「マーファ地区に幽霊の光現る」という記事だとされる。以来、この怪光をめぐってはさまざまな説が語られてきた。湿地から発生するガスによるものだとする説、雷雲が生み出す「セントエルモの火」という放電現象によるものだとする説、地中の火成岩がもたらす圧電効果によるものだとする説、さらには宇宙人によるものだとする説まで、実に多彩な仮説が飛び交ってきたという。
科学者が突き止めた「正体」
この謎に一つの区切りをつけたのが、2004年にテキサス大学ダラス校が行った調査だった。調査チームによれば、観覧エリアからおよそ3.2キロメートル先を走る幹線道路(国道67号線)を通行する自動車のヘッドライトが、遠く離れた場所からは揺らめく「幽霊の光」のように見えていたのだという。その後の追加調査でも、同様の結論が得られている。
それでも残る、説明のつかない謎
もっとも、この結論がすべての目撃談を説明できるわけではない。1883年、最初にこの光が目撃されたとされる当時、テキサス州西部にはまだ自動車そのものが存在していなかった。ヘッドライト説が正しいとすれば、少なくともこの最初期の目撃談については、依然として説明がつかないままなのだ。
今も愛され続ける、テキサスの観光名物
正体の一端が科学的に説明された後も、マーファ・ライトはテキサス州を代表する観光名物であり続けている。国道沿いには一般向けの展望ポイントが設けられ、地元では「マーファライト・フェスティバル」という祭りが毎年開催されているという。真相がどうであれ、140年にわたって人々を惹きつけてきたこの光は、これからも地域の誇りとして愛され続けていくのだろう。
オカルト研究室室長の考察
科学的な説明がつくことと、怪異が愛され続けることは、必ずしも矛盾しないのだと、このマーファ・ライトの話は教えてくれる。自動車のヘッドライトという身も蓋もない答えが見つかった今もなお、1883年の最初の目撃談だけは謎として残り続けている。すべてが解き明かされないからこそ、人はこうした光にいつまでも心を惹かれるのかもしれない。









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