八尺様

八尺様の正体 ― 2008年、2ちゃんねるから生まれた最恐都市伝説

身長およそ240センチ、白いワンピースに帽子をかぶり、「ぽぽぽ」という不気味な声で笑う女――インターネット発祥の都市伝説として、今や妖怪絵巻に描かれる古典的な妖怪たちにも劣らない知名度を誇るのが「八尺様」だ。今回はこの平成生まれの新しい妖怪について、その誕生の経緯を紹介したい。

2008年、「洒落怖」から生まれた新しい妖怪

八尺様の物語が生まれたのは2008年8月26日、匿名掲示板「2ちゃんねる」のオカルト板に立てられた、いわゆる「洒落怖(死ぬほど洒落にならない怖い話を集めてみない?)」スレッドでのことだった。投稿者は高校生の頃、祖父母の家を訪れた際の体験として、この話を書き込んだとされている。

「ぽぽぽ」という声と、白い女

物語によれば、投稿者が祖父母の家の縁側でくつろいでいたところ、「ぽぽぽ」という奇妙な声とともに、身長240センチほどもある、白いワンピースに帽子をかぶった女性の姿を目撃する。祖父母はこの存在を「八尺様」と呼び、目をつけられた人間は数日のうちに命を落としてしまうと語ったという。八尺様は容姿を一定に保たず、狙った相手の身近な人物の声を真似ておびき寄せる能力も持っているとされる。

対処法は「新聞紙と塩」

祖父が連れてきた老婆から御札を授かった投稿者は、窓という窓を新聞紙で目張りし、部屋の四隅に塩を置いて、木箱の上に安置された仏像とともに一夜を過ごすよう指示される。深夜、祖父の声で戸を叩かれるが、投稿者はそれが本物ではないと直感し、決して戸を開けなかった。直後、あの「ぽぽぽ」という声とともに窓を叩く音が響き渡り、投稿者は御札を握りしめ、朝が来るまでひたすら祈り続けたと語られている。

封印していた地蔵が倒され、今も所在不明

物語の後日譚では、この八尺様はもともと地蔵によって封印されていた存在だったが、その地蔵が何らかの理由で倒されてしまったことで、現在は所在不明のまま各地をさまよっているとも語られている。この「今もどこかにいるかもしれない」という余韻もまた、八尺様が読者に強い恐怖を植え付ける要因の一つとなっている。

多くの作品に影響を与えた「平成の妖怪」

八尺様はその後もインターネット上で語り継がれ、漫画『裏世界ピクニック』やゲーム『バイオハザード ヴィレッジ』など、さまざまな作品に着想を与える存在となった。江戸時代から伝わる古典的な妖怪とは異なり、匿名掲示板という現代的な場から生まれながらも、多くの人の想像力をかき立て続けている点は、インターネット時代における新しい妖怪の在り方を象徴しているといえるだろう。

オカルト研究室室長の考察

八尺様の物語が今も色褪せないのは、「新聞紙と塩で身を守る」という、どこか生活感のある対処法のリアリティと、「封印が解かれ、今も所在不明」という終わらない余韻の絶妙な組み合わせにあるのだろう。伝統的な妖怪が長い年月をかけて磨かれてきたように、インターネットの時代にもまた、新しい妖怪が生まれ、育っていく。八尺様は、その最も成功した例の一つなのかもしれない。

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